IB修了生の声・教員の教育実践事例

名古屋国際中学校・高等学校 2025年3月卒
布施 梨花さん
名古屋国際中学校・高等学校を2025年3月に卒業。現在は慶応義塾大学総合政策学部に在籍し社会課題への関心を軸に、自身の研究分野を模索している。
IBを通して身についた力
大学では心理学、組織論、地方自治など幅広い分野の授業を履修して、自分の視野を広げることを意識しています。IBで身についた「自分で問いを立て、資料を深く読み解く姿勢」は、レポート作成やディスカッションの場面で大きな強みになっています。また、IB時代に大量の課題やエッセイに取り組んだ経験から、大学で頻繁に課されるレポートにも取り組める忍耐力が身についたと感じます。英語と日本語の両方で授業を受けていますが、IBでバイリンガルに挑戦した経験のおかげで、どちらの言語でも分析力や理解力を発揮できています。IBで身についた力は、大学生活の基盤として確実に生きています。
IBで身につけた力の活用
大学では課題や試験が立て込んで忙しくなってしまうこともあるのですが、そのような時でもIBで身についたマネジメントスキルを活かすことで部活などの予定と勉強を両立させながら乗り切れているように思います。また、実験レポートに取り組む際には、IAでの経験を活かして構成や図表の作成などを比較的スムーズに進められます。やや重めなレポートを課された際にも、EEを書き上げた経験があることであまり臆することなく向き合えますし、出典を記載することも含め、レポートの書き方で戸惑うことも少ないと感じます。また、EEやIAを書く上で英語論文を参照することもあったため、英語論文を読解し、その内容を発表する実習で論文読解スキルが活かせましたし、論文の引用が中心となって構成されている講義資料に対しても苦手意識を抱かずに学習できています。
TOK(知の理論)で学んだこと
TOKは、論理的・批判的思考が得意ではなかった私にとって最も挑戦的な科目でした。「なぜ?」という問いを深く掘り下げるだけで、当たり前だと感じていた前提が覆され、ものの見方が一気に変わっていく感覚を何度も経験しました。宗教や倫理など多様なテーマを扱う中で、異なる背景を持つクラスメイトの意見を聞く機会が多く、IB校ならではの学びがそこにありました。TOKを通して、日常生活でも「なぜそう考えるのか」「他の立場から見るとどう見えるのか」と考える習慣が身につきました。ニュースを見た際も、単なる情報として受け取るだけではなく、背景や意図を読み取ろうとするようになり、より広い視野で世の中を見ることができるようになりました。苦手意識を抱えながら取り組んだ分、最も価値のある学びを与えてくれた科目だったと思います。
CAS(創造性・活動・奉仕)で印象に残っていること
私が特に力を入れたCASは、子ども食堂でのボランティアと生徒会活動の2つです。子ども食堂では月に1回、お寺を借りてお弁当作りやお菓子の袋詰めを行っていました。私が参加した当初はコロナ対策で受け渡しのみでしたが、高校3年生の冬頃から会食が可能になり、子ども同士や保護者同士の交流が活発になってあたたかい雰囲気だったのを覚えています。
「子ども食堂」という名前がついていますが、地域交流の場としての役割もありました。生徒会活動には1年半取り組み、学校行事の運営を中心に多くの生徒や先生と協力しながら活動しました。メンバーの個性を活かしつつ、全体が同じ目標に向かうように調整する難しさと面白さを学びました。この活動から組織運営への興味が生まれ、現在の大学の学びにつながっています。
大学受験や進路選択で意識したこと
私が大学選びで一番重視したのは英語が活かせるかどうかという点です。名古屋国際高等学校を選んだ理由も英語“で”授業を受けられることに魅力を感じたからです。大学も同じ軸で、英語“で”授業を受けられるところを国内で探しつつも、マネジメントや組織論を学べる海外大学も候補として検討していました。受験でIBスコアはもちろん重要でしたが、それ以上に出願書類のエッセイの完成度を上げることを意識し、先生方とたくさんすり合わせをしました。しかしIBスコアが条件(コンディション)に届かず条件付き合格だった大学に落ちてしまうなど、辛い出来事も多い受験期間でした。国内の一般入試を受けたり、出願期間が短くても受けられる大学に挑戦するなど、決して計画的とは言えない部分も多くありましたが、先生方のサポートもありつつ、一つ一つの入試に根気強く向き合った結果が今の大学につながったと思います。
今後のキャリアについて
将来の職業はまだ確定していませんが、英語を活かしながら誰かの役に立つ仕事に就きたいと考えています。国際的な課題に関わることにも興味があり、将来的には国際機関や社会問題に取り組む組織で働くことも視野に入れています。IBでの学びは、進路観に大きな影響を与えました。TOKや各教科で常に「なぜ?」と問い続け、背景や多様な視点を考える姿勢が身についたことで、社会問題を表面的ではなく構造的に理解しようとする習慣が生まれました。またCASでの子ども食堂や生徒会活動では、人のために行動することの価値や、多様なメンバーと協力して成果を生み出す面白さを実感しました。
これらの経験から、大学では組織や社会について学びを深めたいと考えています。IBで培った思考力と探究心を基盤に、自分が将来どのような形で社会に貢献できるのか模索し続けていきたいです。
IB校での学びの環境や人との関わりで、印象に残っていることは?
IB校の環境は、多様な背景を持つクラスメイトと共に学べる点が大きな特徴でした。クラスにはさまざまな価値観や経験を持つ生徒が集まっていて、全員が「IB取得」という共通の目標に向かって支え合う雰囲気が常にありました。先生方のサポートも充実しており、授業後に質問の時間を設けてくださったり、自習室を提供してくださったりと、学習環境を整えていただいたことに感謝しています。特に高校3年生の時期は、入試とIB試験の両方で忙しく精神的にも大変な時期でしたが、クラスメイトと励まし合いながら乗り越えた経験は忘れられません。夏休みには友人と毎日のように商業施設の自習スペースで開店から閉店まで勉強したことも良い思い出です。IBだからこそ得られた経験は、今でも大切な宝物です。