DP(Diploma Programme)
CP(Career-related Programme

DP(ディプロマ・プログラム)とは

DP(Diploma Programme)は16歳~19歳までを対象としており、所定のカリキュラムを2年間履修し、最終試験を経て所定の成績を収めると、国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア資格)が取得可能なプログラムです。「日本語DP」の対象科目等を除き、英語、フランス語又はスペイン語で実施されます。

 

1 DPのカリキュラム

DPのカリキュラムは、以下の6つのグループ(教科)及び「コア」と呼ばれる3つの必修要件から構成されています。

生徒は、6つのグループから各教科ずつ選択し、6科目を2年間で学習します。ただし、「芸術」(グループ6)は他のグループからの科目に代えることも可能となっています。
また、大学やその後の職業において必要となる専門分野の知識やスキルを、大学入学前の段階で準備しておく観点から、6科目のうち、3~4科目を上級レベル<HL(Higher Level)、各240時間>、その他を標準レベル<SL(Standerd Level)、各150時間>として学習します。さらに、カリキュラムの中核となる核(「コア」)として、以下の3つの必修要件を並行して履修します。

 

  • グループ1

    言語と文学(母国語)

    科目名:
    言語A:文学
    言語A:言語と文学
    言語A:文学と演劇(SLのみ)(※)

  • グループ2

    言語習得(外国語)

    科目名:
    言語B
    古典言語
    初級言語(SLのみ)

  • グループ3

    個人と社会

    科目名:
    地理、歴史、経済、ビジネスと経営、情報テクノロジーとグローバル社会、哲学、デジタル社会、心理学、社会・文化人類学、グローバル政治、世界の宗教(SLのみ)、環境システムと社会(※)

  • グループ4

    理科

    科目名:
    生物、化学、物理、コンピュータ科学、デザインテクノロジー、スポーツ・エクササイズ・健康科学、環境システムと社会(※)

  • グループ5

    数学

    科目名:
    数学:解析とアプローチ
    数学:応用と解釈

  • グループ6

    芸術

    科目名:
    音楽、美術、ダンス、フィルム、演劇、文学と演劇(SLのみ)(※)

(※) なお、「文学と演劇」はグループ1と6の横断科目。「環境システムと社会」はグループ3と4の横断科目で、どちらかのグループとしての登録ができます。

 

上記6グループのほか、必修のコア科目として、Theory of Knowledge(TOK、知識の理論)、Extended Essay(EE,課題論文)、Creativity, Activity & Service(CAS、創造性・活動・奉仕)の3科目が配置されています。この3つのコア科目の存在は探求型学習と全人的教育を強調するIB教育の大きな特徴といえますが、日本の科目では対比がなくわかりづらいと思われるので、内容について以下に補足します。

  • 課題論文
    (EE:Extended Essay)

    生徒が関心のある研究分野について個人研究に取り組み、研究成果を4,000語(日本語の場合は8,000字)の論文にまとめる。

  • 知の理論
    (TOK:Theory of Knowledge)

    「知識」の本質とはなにかを学ぶ教科。IBが標榜する構成主義では「知識はいつも人が構成するものである」とする。先人はこの世界をどのような枠組みで理解してきたのか。二項対立に陥いらず実生活に役立ち、物事の本質に切り込む意義ある問いの立て方と、そうした問いにどのように取り組むか等について学ぶ。

  • 創造性・活動・奉仕(CAS:Creativity/Activity/Service)

    創造的思考を伴う芸術などの活動、身体的活動、無報酬での自発的な交流活動といった体験的な学習に取り組む。

 

2 DPの評価

国際バカロレア資格の取得には、DPカリキュラムを全て履修し、外部評価(国際バカロレア試験等)及び内部評価を通じて、45点満点中、原則として24点以上を取得する必要があります。
配点は、6科目につき各7点(計42点)。さらに、必修要件(「コア」)について、TOKとEEの評価結果の組み合わせに応じて最大3点が与えられます(CASは評価対象外)。
国際バカロレア試験は、南半球と北半球の学校年度に対応できるよう、年2回、世界で一斉に実施されます。日本の1条校の場合は、原則として3年次の11月に実施され、翌年の1月5日に最終スコアが通知されます。なお、国際バカロレア試験の出題例(サンプル)は、以下リンク先から閲覧可能。

 

3 日本語DP (Dual Language Diploma Program: DLDP)

DPの授業・試験は、原則として、英語、フランス語又はスペイン語で行う必要があるが、現在、文部科学省と国際バカロレア機構が協力して、DPの一部の科目を日本語でも実施可能とするプログラムの開発を進めています。

日本語DP対象科目等

日本語で実施可能又は実施可能予定の科目等は、以下のとおり。

  • 以下の科目:
    「言語と文学」(グループ1)のうち、「言語A:文学」「言語A:言語と文学」
    「個人と社会」(グループ3)のうち、「地理」「歴史」「経済」
    「理科」(グループ4)のうち、「生物」「化学」「物理」
    「数学」(グループ5)のうち、「数学:解析とアプローチ」「数学:応用と解釈」
    「芸術」(グループ6)のうち、「音楽」「美術」
    ※日本語DPでも、6科目中2科目(通常、グループ2(外国語)に加えて更に1科目)は、英語等で履修することが必要。
  • 「コア」(3必修要件)の全て:
    「課題論文」(EE)、「知の理論」(TOK)及び「創造性・活動・奉仕」(CAS)
    ※日本語で実施できる科目等について、日本語に翻訳した科目ガイド等を以下リンク先から閲覧可能。
    (翻訳している最中の科目ガイド等もあるため、翻訳対象文書の全てが掲載されているものではない。未掲載の文書については、翻訳が終わり次第、順次掲載予定。)

  国際バカロレア機構公式日本語資料ページ ”Resources for School in Japan

CP(キャリア関連・プログラム)とは

CP

CP(Career-related Program)は、16~19歳までを対象としたキャリア教育・職業教育に関連したプログラムであり、生涯のキャリア形成に必要なスキルの習得を重視します(2012年に新設)。一部の科目(”振り返り”のプロジェクト等)は、英語、フランス語又はスペイン語で実施。

CPのカリキュラムは、学校がそれぞれ提供する職業教育・キャリア教育に柔軟に対応できるよう、「枠組み」を提供するものとなっています。

CPのプログラムは、以下の3つの枠組みから構成されます。

1 ディプロマ・プログラム(DP)の一部科目

CPでは、少なくともDPの科目(グループ1~グループ6)のうち、少なくとも2つ以上を履修します(上級レベル、標準レベルの選択・組合せは自由)。なお、日本語DP対象科目を選択することも可能です。

2 「コア」

  • 学習の方法(Approaches to learning)
    批判的・倫理的思考、異文化理解、コミュニケーション能力に焦点を当てた学習。90時間以上の学習。
  • コミュニティと奉仕活動(Community and service)
    教室外で、コミュニティにおける奉仕活動に取り組む。約50時間の学習。
  • 外国語学習(Language Development)
    最低50時間以上の外国語の学習。
  • “振り返り”のプロジェクト(The reflective project)
    キャリア教育に関連した特定の課題について、倫理的な観点から検討を加え、教室内外で約40時間の個人研究に取り組み、調査やコミュニケーションスキルを育成。

3 キャリア関連学習

CPは、各学校が行うキャリア関連教育を支援・補完するために開発されたプログラムであり、キャリア教育・職業教育は、各学校がそれぞれ提供します。

DPは、PYP、MYPと異なり、科目ごとのカリキュラムがIBから提供されています。これはDPについてより詳しく理解を深められたい方は、こちらのIB公式ホームページ ”Resources for School in Japan”に、概要及び科目別のガイドブックがありますのでご覧ください。